外国人通報に多言語対応 福島県警や消防通訳交え三者通話
県警本部と県内各消防本部は外国人の通報に多言語の電話通訳で対応できるシステムを強化する。外国人と警察・消防の通信指令担当者、通訳者を回線で結ぶ三者間通話を二十四時間体制で導入する。福島市で野球・ソフトボールの試合が行われる二〇二〇年東京五輪に向けて、訪日外国人の増加が見込まれるため、外国人の安全確保につなげる。
■東北観光機構と覚書
県警は十二月一日午前零時から、東北観光推進機構の委託を受けた通訳サービス会社の協力を得て英語と中国語、韓国語の三者間通話を始める。
一一〇番の他、警察署や交番、駐在所など二百五十一カ所の警察機関の固定電話が対象となる。
一一〇番は必要に応じて外国人、警察官、通訳者の三人が同時に会話できる。県警は事件・事故の迅速な初動対応が可能になると期待する。
県警の菅野年幸刑事部長と通訳サービスの支援に取り組んでいる東北観光推進機構の紺野純一専務理事推進本部長(元JR福島駅長、福島市出身)は二十八日、県警本部庁舎で協定内容を定めた覚書を締結した。
県警によると昨年の外国人による一一〇番通報は二百件だった。県警本部や各署に所属している外国語が堪能な警察官約三十人が業務の傍らに担当してきた。誰も対応できない際には民間の通訳を探し、確保が難航する事態があったという。
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県内の消防本部では、郡山と白河両消防本部が通訳を交えた一一九番の三者間通話の二十四時間体制を導入している。
福島と伊達、安達、喜多方、会津若松、南会津の六本部は二〇一九年度には導入する予定。須賀川、相馬、いわきの三本部も活用する方向で調整している。
郡山は十五カ国語、白河は十六カ国語に対応している。導入予定の福島、伊達、安達などは五~十カ国語を想定している。
■言語数の拡大課題
県内の在留外国人数は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後に落ち込んだが、その後は回復傾向にある。昨年は一万二千七百九十四人と、震災前の水準に戻った。県内の外国人延べ宿泊者数も震災以降増え、昨年は十三万人を超えた。
一方、刑法犯の被害に遭った外国人も増えている。県警の認知件数は昨年が六十六人で、五年前の二〇一三(平成二十五)年の三十二人から倍増した。
県警と消防の通訳は一部の言語にとどまっており、今後さらに多言語への対応が課題となる。県内ではベトナムの技能実習生約百四十人が働いているが、県警が導入するシステムにはベトナム語は含まれていない。福島市の金属加工会社で二〇一六年六月から、技能実習生として勤務しているベトナム人女性のドー・ティ・ジャンさん(21)は「ベトナム語が通訳の対象になれば安心だ」と期待した。