4月1日より改正入管法施行…新在留資格「特定技能」の概要

Author: - 27/03/2019

わが国の人手不足解消の一手として政府が打ち出した「特定技能」という新しい在留資格。企業は外国人を雇用する際に、必ずその知識が必要となります。この資格はどのような経緯で新設され、また、どういった定義がなされているのでしょうか。本記事では、外国人雇用や外国人就労の支援を専門としている行政書士・社会保険労務士の井出誠氏が、「特定技能」と現状の就労系在留資格と比較しながら詳しく解説します。

即戦力となる外国人材を受け入れる、新たな在留資格

いよいよ本年4月1日から改正入管法が施行され、新しい在留資格である「特定技能」が動き出します。

外国人に単純労働解禁か』『事実上の移民政策ではないのか』などニュースや新聞等でも連日扱われ、世間の関心も非常に高く、人手不足に悩む中小企業経営者からは受け入れを真剣に検討したいとの声も多く寄せられる一方、まだまだ詳細情報も少なくよくわからないとの声も耳にします。

ここでは、わが国の人手不足解消の一手として政府が打ち出した「特定技能」という新しい在留資格について、どのような経緯で新設された、どのような資格なのか等、現状の就労系在留資格とも比較しながら、解説していきたいと思います。

わが国の少子高齢化に伴う労働力人口の低下及び人材不足の問題はとても深刻な状況にあります。総務省によるとわが国は2008年をピークに総人口が減少に転じており、2050年には日本の総人口は1億人を下回ることが予測されています。また、15歳から64歳までの生産年齢人口を見てみますと2017年の7,596万人(総人口に占める割合は60.0%)が2040年には5,978万人(53.9%)と減少することが推計されています。労働市場での人手不足は経済成長の大きな制約につながります。

これになんとか歯止めをかけるべく、高齢者雇用や女性活躍の推進等が叫ばれている中、年々右肩上がりで増加傾向にあるポテンシャルワーカーたる外国人労働者への期待も高まる一方です。

このようなことから、国内人材の確保のための取り組み等を行ってもなお人材不足が深刻な真に受入れが必要と認められる分野に着目し、即戦力となる外国人材を受け入れるための新たな在留資格の創設が必要という政府の考えのもとに生まれたのが、新しい在留資格「特定技能」といえます。